Sunday, June 24, 2007

yet another kurosawa film (no.13)

【醜聞-スキャンダル-】 (1950)

前言撤回。これが志村喬のベスト!と私は思います。

この作品は面白いのですが、正直、黒澤作品の中ではランクは下のほうになるかな...という作品でした。それは志村喬以外のキャラクターがきちんと描かれていないのです。(黒澤作品にしては珍しい...)ただ話のきっかけを作る程度の描き方で、三船敏郎の良さも出ていない。これはある批評に私が賛同しているだけでオリジナルの意見ではありませんが、プロットが浅い。前半は三船敏郎がメインで話が進んでいくのに、志村喬の登場により、フォーカスが動いてしまっている。志村喬演じる弁護士の話に摩り替わってしまっている。もしこの弁護士役が他の役者で作られていたらそれほど面白いと思わなかったかもしれない、と思わせるほど彼に頼りきってしまっている。

それはもしかしたら、実はこの志村喬演じる人物にはモデルがいたからかもしれない。ある日飲み屋で近くにいた男性(弁護士ではらしいが)がしていた娘の話などがこのキャラクターのもとになっていることに、書いているうちに気づいた、と監督は話している。

と、批判ばかりになってしまいましたが、最初にも書いたとおり、面白いことは面白いのです。オープニングシーンやモンタージュなどの手法で工夫されたいいシーン(これは『野良犬』で再び採用している)もあり、最後まで見せます。ただちょっとプロットが極端で表面的であるため、他の作品に比べると“甘い”(これは監督自身の言葉)。

個人的には2箇所、思いっきり笑ってしまったシーンがありました。

Shubun - Scandal (1950)

:::::coming soon:::::